しわくちゃになったら、会いに行きます。


 お兄ちゃんに適当な返事をしつつ、脳内で考える。


 信じてくれるかな。


 それに。


 彰太くんが、話されることを嫌がるかもしれない。


 となると、聞くのは避けたほうがいいんじゃ――




 「おい、朱里」




 「えっ、あ、はいっ」




 やっぱり思考を遮られたあたしは、半ば反射的に背筋を伸ばした。


 声の主だったらしいお兄ちゃんはくすくすと笑っている。


 ……恥ずかしい。


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