涙空
放課後。伊織達は少し遅くなるとのことことで、私は一人、図書館で皆を待っていた。



昼休みの時から思い出される記憶。


『あんたなんか友達じゃない!』


ずっと、親友だと思っていた子に裏切ら
れた時の記憶。



そっと髪を触る。


校則で肩より長かったらくくらないといけないからとくくっている髪。



さらさらした感覚が手に広がる。



大丈夫。切られてない。髪は長いままだ。




嫌な事、思い出したくないこと…



中学でいじめられていた事。



主犯格は望美の友達だった。



思い出したくない。思い出したくない。
思い出したくない。



お願い…



もう、嫌なの。



いじめられていた事を思い出すのは。


気が付けば、私の瞳から涙が溢れていた。
















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