涙空
「ううっ・・・ひっく・・・っ」


嗚咽がこみ上げてくる。


図書館には人がいない。私は安心して沢山泣いた。



『ずっと親友でいてね‼︎』


私を裏切った子に言われた言葉。


近い未来にいじめられる事なんて知らなくて、私は、唯嬉しくて、笑ったんだ。



『私も、ずっと親友でいてね‼︎ひなの‼︎』



馬鹿みたい。親友でいてねなんて。


私を裏切ったくせに。


卒業式の日だって謝って来なかったのに。



でも、親友だと思ってた。


思ってたかった。



いじめられても、いじめられても、いつか、謝ってくれるって。



馬鹿みたいだ。



「ふ・・っくっ・・・」



涙でぐちゃぐちゃになった顔を手で覆って、泣いた。


図書館に私の声だけが響いて、まるで世界に私しかいないみたい。



たった独り。



伊織は私がいじめられても、私の側にいてくれるのかな?


埒のあかない事を考えながら、泣き続けた。


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