涙空
本屋からフードコートまでは結構な距離がある。私達はその間無言な訳もなく、買った本だの好きな作家だのの話題で凄く盛り上がる。



「今日は何買ったの?」





伊織は大事そうに本屋の袋を抱きしめながら、私と立花に聞いてきた。





「伊織は?」





「さよならの雪、知ってるでしょ?もうすぐ映画化する…」





「ああっ‼︎知ってるっ‼︎伊月舞のやつっ」





「そうそう。で、あんた達は?」





「虹の端、文庫本でやっと出たの〜‼︎」




「あんた好きねぇ有野虹。」





「うん。面白いし」





「結構売れてるから映像化も多いし、まあ好きになりやすい作家だもんね。立花は?」




「光の街」





「ああ、あんたも有野虹?ひょっとして結希に教えてもらった?」




「まあそうだな。」





伊織はニヤニヤ笑いながら、両手を合わせ、



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