思色(おもいいろ)
次の朝、ときさんと、ときさんのお母さんである小さなおばあちゃんとご飯を済ませ
私は李亜と、午前中の間だけ出かけさせてもらった。
午後からは店番頼むよ。
ときさんは久々に若いこと食事するのは楽しいわねぇと朗らかに笑うおばあちゃんを嬉しそうに見つめながらそう言って、早々とお茶屋の仕込みに入った。
探索方は、情報の集まる髪結いや、何か商売をしている人になりすましていることが多いと聞いて
私たちは早速、すぐ近くの髪結い屋へ訪ねて行った。
聞くと、少し前に探索方と会ったよ、というお客さんが来ていて
髪結いではなく、この辺りでは
団子売りをしている、とのことだった。
「顔とか、何か特徴になるものはありますか?」
「ああ、かなりの美人だよ。青い石のついた、かんざしをしてたな」
この近辺の探索方は、女性だったのだ。
「てっきり、みんな男の人がするんだと思ってた、探索方なんて」
だって、いろいろ秘密を抱えたり、情報を集めたり、体力も知力もかなり高いものを要求されそうだ。
「早く会ってみたいね」
李亜が、いたずらっぽく笑う。
青い石のかんざし。
そして、美人。
名前も、住んでるところもわからない。
団子屋さんということしか。
髪結い屋さんを出て、私たちは途方にくれた。
「ねぇ、どこから探せばいいのかしら」
「ホントね…」
「街がひろすぎるわよね」
「うん…せわしなくて、休まるところもないよね」
「ねぇ、お茶屋さんに行ける人は、そこでお団子を頼んだりできるけど、そこまでのお金がない人って、どこでお団子を買って食べるのかな…」
「そうねぇ…川原とか、神社の境内とか、縁日とかかしら…」
「ねぇ、神社の境内、怪しくない?」
「え?」
「人が内緒でこっそり会ったり出来るところだし、隠れるところも多いから、後をつけたりするにもいいところだと思う。そこをしょっちゅうお団子屋さんとしてつかっていれば、どんな人が、いつ頃に神社を通ったりするかも観察できるわ。川原は、人目につきやすいし、相手に顔を知られてしまうことも、あったりするんじゃないかしら」
李亜は、驚いた顔で私を見た。
「若葉、短時間でどうしてそんなこと思いつくの?すごいわ!」
李亜は感動したのか、私を見る目が心なしかキラキラしている。
推理もののテレビ、お母さんがよく病室で見てたからかな…
こんなところで、あっちの世界の生活が役に立つなんて。
李亜は、さっそく近くに神社はないか、店先に出てきた前掛けをしたちょんまげの男性に話しかけている。
しばらくして戻ってきた。
「あったよ!この近くに二つ!」
「よし、行ってみよう!」
あたしたちは、手をつないで駆け出した。
私は李亜と、午前中の間だけ出かけさせてもらった。
午後からは店番頼むよ。
ときさんは久々に若いこと食事するのは楽しいわねぇと朗らかに笑うおばあちゃんを嬉しそうに見つめながらそう言って、早々とお茶屋の仕込みに入った。
探索方は、情報の集まる髪結いや、何か商売をしている人になりすましていることが多いと聞いて
私たちは早速、すぐ近くの髪結い屋へ訪ねて行った。
聞くと、少し前に探索方と会ったよ、というお客さんが来ていて
髪結いではなく、この辺りでは
団子売りをしている、とのことだった。
「顔とか、何か特徴になるものはありますか?」
「ああ、かなりの美人だよ。青い石のついた、かんざしをしてたな」
この近辺の探索方は、女性だったのだ。
「てっきり、みんな男の人がするんだと思ってた、探索方なんて」
だって、いろいろ秘密を抱えたり、情報を集めたり、体力も知力もかなり高いものを要求されそうだ。
「早く会ってみたいね」
李亜が、いたずらっぽく笑う。
青い石のかんざし。
そして、美人。
名前も、住んでるところもわからない。
団子屋さんということしか。
髪結い屋さんを出て、私たちは途方にくれた。
「ねぇ、どこから探せばいいのかしら」
「ホントね…」
「街がひろすぎるわよね」
「うん…せわしなくて、休まるところもないよね」
「ねぇ、お茶屋さんに行ける人は、そこでお団子を頼んだりできるけど、そこまでのお金がない人って、どこでお団子を買って食べるのかな…」
「そうねぇ…川原とか、神社の境内とか、縁日とかかしら…」
「ねぇ、神社の境内、怪しくない?」
「え?」
「人が内緒でこっそり会ったり出来るところだし、隠れるところも多いから、後をつけたりするにもいいところだと思う。そこをしょっちゅうお団子屋さんとしてつかっていれば、どんな人が、いつ頃に神社を通ったりするかも観察できるわ。川原は、人目につきやすいし、相手に顔を知られてしまうことも、あったりするんじゃないかしら」
李亜は、驚いた顔で私を見た。
「若葉、短時間でどうしてそんなこと思いつくの?すごいわ!」
李亜は感動したのか、私を見る目が心なしかキラキラしている。
推理もののテレビ、お母さんがよく病室で見てたからかな…
こんなところで、あっちの世界の生活が役に立つなんて。
李亜は、さっそく近くに神社はないか、店先に出てきた前掛けをしたちょんまげの男性に話しかけている。
しばらくして戻ってきた。
「あったよ!この近くに二つ!」
「よし、行ってみよう!」
あたしたちは、手をつないで駆け出した。