思色(おもいいろ)
最初の神社には、人が全くいなかったが
ふたつ目に訪れた神社では、子どもが境内で駆け回り、何か催し物があったようで人もそこそこ多かった。

私たちは、境内が見渡せるように、鳥居をくぐってすぐに、脇にそれて植え込みの方へ入って行った。
「ねぇ、あれ見て」李亜が指差す方を見ると、参拝や催し物への参加で流れている人とは別で5〜6人位の女の人が
何か固まって話をしているのが見えた。
その横には、団子が入っているのか肩からかけるカゴみたいなものが置いてあり、かろうじて「だんご」と書いてあるようにみえる。

その中心にいる人が…
「青いかんざしだわ」

そう。
周りを囲んでいる女の人たちから何かお願いをされているのは
紺の薄い着物をまとった、鮮やかな青い石のついたかんざしをつけている。

私たちの角度からは、顔が見えないけれど…
「きっとあの人で間違いないね」と私が言うと、李亜も頷いた。

今お願いされているのは何なのだろう。
女の人たちからの頼まれごとなら、そう危険ではなさそうだけれど…

「ちょっと近づいて、話を聞いてみよっか」わたしがこそっと小声で言うと
「私もおんなじこと言おうと思ってた」
李亜もにやりとわらった。
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