I LOVE YOU
何も死ななくてもいいじゃないか。

それも昨日、死ななくていいじゃないか。


チッと舌打ちし煙草に、火を点す。


煙草を吹かすと、白い煙がゆっくり立ち上った。

線香の煙を思い出し、虚しさが込み上げる。


「……逝ってしまったのね」


凜が、消え入りそうな声で呟く。


だけど世界は続き、俺達の生活は何も変わらない。


「もう、……会えないのね」


ただ、それだけなのに。

言葉を交わすことも、笑い合うことも、何もかも、同僚の時間は止まってしまった。



「……っ……」

凛が嗚咽を漏らす。

ゆっくりと肩を抱き、そっと引き寄せる。



「愁さん……どうして、麻子は……」


胸の中で、凛は悔しそうに泣きじゃくった。


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