I LOVE YOU
思いながら、言葉を呑み込む。


風が木々の梢を揺らしている。


「凛、声出して泣いていい」


気の利いた言葉がみつからず、そう言って凛の腰を強く抱き寄せる。



「愁……さん」


凛の唇から白い吐息が漏れる。


好きな男の1人、麻子にもいただろうに。
愛する男に傷ついた心を癒してもらえただろうに。



悔しさが込み上げる。


煙草に火を点そうとして顔を傾ける。
凛の華奢な手が、俺の手を遮る。



「……キスして」


友を失った寂しさと、凍えるような寒さ。

人肌が恋しかった。



「寒いな。凜、珈琲入れてこようか?」


涙を隠す口実。
凛の傍を離れようとする。


「いや……そばにいて」


凜の華奢な手が、引き止める。

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