I LOVE YOU
今、傍を離れれば何もかも消えてしまいそうな気がする。



「愁さん……」


窓際、壁を背にした凛が涙の滲んだ瞳で、俺を見上げる。


潤んだ瞳から、涙がつうーと頬を伝っていく。


壁にドンと、両手をつくと窓ガラスが震え、カタカタと音を立てる。


「莫迦っ、泣くな」


泣きたいのは……お前だけではないんだ、そんな思いを込める。


「愁さん……」


凛の瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。



「愁さん……」


涙を目の端に溜め、言いかけた凛の唇に、優しく唇を重ねる。



「……凛」



細く華奢な白い体を抱き寄せる。


凛は必死に、俺の唇を吸う。

失ったものを 取り戻そうとするように。
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