あなたから、kiss
目まぐるしい一日が…、今日も始まる。
わかっている。
わかっているのに…
どうしても…考えてしまうのは。
昨夜の……記憶の、続き。
置いてあったオニオンスープ。
私が作った覚えなど…、ない。
昨日どうやって自宅に帰っただとか、手に残された温もりだとか、
唇にナニかが触れた…感触だとか。
思い当たるものも…ない。
昨日一緒にいたのは、紛れもなく…雨宮くんであって。
途切れ途切れに聴こえて来たあの声もまた、彼のものだったんじゃないかって…思いを巡らせては見るものの……。
酔っぱらいのあやふやな記憶だ。
解決の糸口には…ならない。
スープは、思いの外美味しかった。
まだ冷めてもいなかったってことは…、だ。
私が起きるちょっと前までは……
誰かがいたかもしれないってことだ。
誰かって……、ダレ?
考えられるのは――…
彼しかいないのに。
そっと…唇に触れてみる。
それが…
夢ではなかったら。
『悪戯してもいースか?』
彼は、私に……
何したの?