あなたから、kiss
雨宮くんは、いつものように坦々と…業務を熟していく。
気になって、ついチラチラと様子を窺うけれど……。
あんなことを言った手前、編集長の視線が痛い。
自分が提案して…来てくれたのに、知らんぷり決め込むだなんて……。
きっと、雨宮くんも呆れてる。
どうせ酔っぱらいの戯言だったのだと思われても…仕方ない状況だ。
「……………。」
彼がやって来て、2時間が経過する頃…、私は、あることに気づいた。
いつもなら、そろそろ…デスクにコーヒーが置かれてもいいくらいだ。
普段、気にもしなかったのに、特別飲みたいだなんて思ってる訳ではないのに。
妙に……恋しくなってしまうのは。
それが…気づかぬうちに、当たり前になっていたからだ。
集中力は…、散漫。
私は、とうとう席を立って。
給湯室へと向かって…歩いて行った。