幸せになりたい
「あ!おはよう十宮くん!」
「きゃー!十宮くん今日もかっこいいね!」
「あ、どーも」
いつものように、女子がわいわいと俺の周りに集まってくる。
悪い気はしねぇ。
けどなんだかこれに慣れてしまった。
「よぉ、慎。おはよーさん。相変わらずだな」
「おー、はよ!龍」
遠くから手をダルそうに挙げるその眼鏡男は、梶ケ谷龍介。
何だかんだで小学校から仲がいいやつ。
で、こいつはさりげなく見てる女子が沢山いるのは気付いてんのかな。
「お前も相変わらずだな」
「あ?どういう意味だ」
「いや?何でも。あ、それより龍!俺さ………」
ふわっ
あ………………
この香り………似てる
俺は勢いよく辺りを見渡した。
必死すぎて、余裕ない自分に驚く。
微かに感じた、あのときと似た香り。
キモい?そんなのはもう知ってる
けど、こういう感情って一回思っちまったら
押さえなんかきかねぇだろ?