春、ふわり。【短】
「先輩……」
じん、と感動を覚えた胸の奥。
「それに……」
そのせいで続く言葉が出て来ない私に、先輩が不意にニカッと笑った。
「仕事ばっかりしてると、いつまで経っても彼氏出来ねぇぞ」
「よっ……、余計なお世話ですよ!もう!」
眉を寄せてむきになる私を余所に、先輩は楽しげにハハッと笑う。
「まぁ、程々にしておけよ」
今の今までからかっていたくせに、去り際にはさりげなく優しい言葉と缶コーヒーを置いて行くなんて、やっぱりずるい。
先輩のそういうところが、彼を好きになった理由の一つで。
つい一人で抱え込んでばかりの私は、こんな些細な事に胸の奥をときめかせてしまって。
さっきまでと反して真剣な表情で仕事に取り組む先輩に、また強く惹かれてしまうのだ。
指先でツンと触れた缶コーヒーは温かくて、思わず微苦笑を浮かべる。
「ずるいなぁ……」
それから、誰にも聞こえないようにぽつりと零した。
タブを開けた缶コーヒーに口を付け、息を小さく吐く。
どんなサプリよりも効果のある液体が体内に染み渡るような気がして、自然と柔らかい笑みが溢れた――…。
じん、と感動を覚えた胸の奥。
「それに……」
そのせいで続く言葉が出て来ない私に、先輩が不意にニカッと笑った。
「仕事ばっかりしてると、いつまで経っても彼氏出来ねぇぞ」
「よっ……、余計なお世話ですよ!もう!」
眉を寄せてむきになる私を余所に、先輩は楽しげにハハッと笑う。
「まぁ、程々にしておけよ」
今の今までからかっていたくせに、去り際にはさりげなく優しい言葉と缶コーヒーを置いて行くなんて、やっぱりずるい。
先輩のそういうところが、彼を好きになった理由の一つで。
つい一人で抱え込んでばかりの私は、こんな些細な事に胸の奥をときめかせてしまって。
さっきまでと反して真剣な表情で仕事に取り組む先輩に、また強く惹かれてしまうのだ。
指先でツンと触れた缶コーヒーは温かくて、思わず微苦笑を浮かべる。
「ずるいなぁ……」
それから、誰にも聞こえないようにぽつりと零した。
タブを開けた缶コーヒーに口を付け、息を小さく吐く。
どんなサプリよりも効果のある液体が体内に染み渡るような気がして、自然と柔らかい笑みが溢れた――…。