魔王の息子で何が悪い!
「ちっくしょうぉぉぉ!!……ってあれぇ?」

数々の凄惨な思い出に言いようのない怒りを感じ、思わず勢い良くその場に立ち上がるナオト。そして、すぐに周りの異変に気付く。

彼を包んでいたあの圧倒的なプレッシャーがどこにもないのだ。それどころか辺りは怖いくらいにしんと静まり返っている。

そして、目の前にはなぜかうつ伏せに倒れたリリム。

……一体なにがあったんだ……?

その予想外の光景に呆気にとられるナオト。すると、蚊の鳴くような彼女のか細い声が聞こえてきた。

「……お……お腹すいた……もう……力が入らない……」
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