魔王の息子で何が悪い!
「本当の息子じゃない……とか?」

「えっ!?なんで!?」

心を見透かすかのようなナオトの一言に目を見開いて驚くヒロシ。

「……いや。なんとなく。それに昔からそうなんじゃないかとは思ってた。」

対照的に遠くを見つめながら淡々と答えるナオト。 

……そう。わかっていたんだ。こんな日が来る事を。

「……ナオ君。本当の両親の事……気になるかい?」

なんとも言えない表情で問いかけるヒロシ。それに対しナオトは小さく首を横に振る。

「……いや。あんまり。血は繋がってないだろうけど俺の親父は一人だけだし。もちろん母さんも。それに……今更だよ。」

その言葉に嘘は無かった。例え本当の両親が生きてたとして、今更どんな顔をして会えば良いのか。
どんな事情があるにせよ十年以上も自分の事を放っておいたのだ。
そう思うと恋しいという想いは微塵も湧いて来なかった。
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