天体観測の夜は月に願いを…
奏絵「あ~あ、ガッチガチだね。リラックスしなよ~。」
親友の奏絵が緊張している私を見かねて声をかけて来た。
でも面白がって半笑い、酷くない?
堂島祈織先輩、もうすぐ卒業してしまう。
彼は成績は常に学年上位、スポーツも万能、身長は178センチ、
天然パーマの少しウェーブの入った髪、イケメンで高校生
らしからぬ落ち着きと色気のある瞳。
一つ難点は、口調が冷たいと言われている。
そのためか、多くの女子は近づき難いというか、遠巻きに
彼を鑑賞している。
私は先輩の口調冷たいと思わない。言葉を選んで話している
と感じる。
そして彼の纏っている空気感が私を惹きつける。
なんと表現しようか、冬空の月の様な凛として、それでいて温かい。