天体観測の夜は月に願いを…
あれから数ヶ月、彼女の側には いつも前田か戸塚がいる。
思いを告げるチャンスはまだ来ない。
戸塚と一緒の時は胸がじりじりとする。
嫉妬、戸塚と付き合ったりしないよな。
文化祭、担当時間を一緒になるよう調整した。
案の定、彼女の周りには、狙っている奴らが張り付いている。
ニコニコと応対している彼女、自分狙いと気づかない。
気安く触ろうとする奴らは、さりげなく用事を頼み引き離す。
少し離れたところから見守っていた。
美咲「祈織先輩、ちょっとお願いします。」
祈織「ん? 今行く。」
呼ばれていくと展示物の星座盤の配線の接触が悪いらしい。
美咲「どうですか? 直ります?」
彼女が僕の背後から覗き込む、サラサラと長いストレートの髪が
僕に顔に触れた。
甘い香りが鼻腔をくすぐり、体中の血液が熱くなる。
やっ、やばいなぁ。平静を装わなければ。