天体観測の夜は月に願いを…
聡くんは、私の手を包むように握り、瞳はウルウルのお願いモードの
仔犬のよう。
奏絵「まあ、冗談はさておき。何か用事あるんでしょう。さ・と・る。」
聡くんは私の手を離すと、今度の『天体観測&気温観測』の計画について
案がないか聞いてきた。
その後、気温観測場所の確認など後から来た戸塚を交えて話し合う。
一学期に行われる観測会は、もちろん観測がメインではあるが、1年生の
技術向上の為の指導も目的の一つ。
気温観測は観測場所が多いため基本一人で、1から2箇所受け持つ。
天体観測は、望遠鏡の数も限られているからグループを作り、
なるべく違う学年で組ませるか、指導で来る体制にする。
グループ分けか…。
戸塚「グループ分けは、俺と斎藤先生に任せてくれないか?
今日は暗くなってきたから、先に帰っていいぞ。
女子は気をつけて。」
奏絵「いいの? 戸塚優しい。」
戸塚はヒラヒラと手を振り、隣の地学準備室の斎藤先生の所へ向かった。