天体観測の夜は月に願いを… 

走って戻ろうとすると、足音が近づいてきた。


美咲「まさか、ゆ、幽霊!」


足音のする暗闇に明かりを向け、目を凝らす。


美咲「聡くん?」

聡「先輩大丈夫ですか?」


足音の主は後輩の三上聡くんだった。

彼の担当は、地学室の有る校舎の一階の両端、ここからは随分

離れている。


聡「先輩、一人だっって聞いたし、こっち暗くて寂しいから
  心配で、自分のところ速攻片付けてきました。」


にこにこと人懐っこい笑顔。


美咲「はあ~、ビックリした。」

聡「すみません。計測は終わりました?帰りましょうか。」

美咲「そうだね。」

聡「でも女子一人に、こんな遠い場所ってどうなんですかね?」

美咲「ん~、しょうがないんじゃない。人数も足りないし、
   さすがに1年には任せられないよ。」

聡「まあね。でも僕にはラッキーでしたけど。」

美咲「えっ?どう言うこと…」
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