天体観測の夜は月に願いを…
地学室に戻ってきた二人は手をつないでいた。
美咲の首に紅く散らされたキスマーク。
みんなの声が遠くに聞こえる。現実を受け入れられない。
今日の観測は、まだ始まったばかりだ。シッカリしないと。
頭を冷やそうと屋上に出て星を見る。もう、何がなんだか……。
お前との関係を取り戻すのは、ゆっくり時間をかけてと思っていたのに、
油断していた。
もう、手遅れ?諦めないとダメなのか?
空に向かってため息をつく、お前の好きな三日月は出ていない。
誰か屋上へ上がってくる気配。
『月がないと本当に暗いな』……ん、美咲?
こんな時に、タイミングが良いのか悪いのか………。
お前の口から三上に告白されたこと、堂島さんと付き合っていることを聞いた。
そうか………。
『良かったな』なんて心にもない言葉……。