恋は涙とあまのじゃく
「お願いします!」
試合会場となる学校に到着し、第一試合が始まる五分前、私の学校のバスケ部員が顧問の回りに集まる。
「前半、取れる点を落としてることが多いから、最初一気に差をつける積極的なオフェンスをしていこう。
で、ディフェンスは今まで通り、マンツーマンな。
とりあえず前半はその形式で攻めていこう。」
「はい!」
部員たちの声が静かになった体育館にこだました。
「じゃあ、スタートは……」
ガード、フォアードとそれぞれのポジションのスタメンの名が告げられ……
「センターのスタートは中井と…………前島で」
「はい!」
まだ心臓がバクバクいってる。
名前が呼ばれた安堵感からか、膝から崩れ落ちそうになった。
中井、こと中井優樹は、うちの学校の絶対的エース。
小2からミニバスに入っていたから、
とにかくめちゃくちゃ上手い。
「前島。」
「はっ、はい!」
顧問に急に呼び止められる。
「前島、リバウンド頼むわ。」
「………分かりました!」
絶対にスタメン取られるわけにはいかない。
この試合活躍して、絶対的なスタメンになる!
そう心に決めて、私はコートに立った。