それでも僕は君を離さない
「良かった。粘った甲斐があった。」

彼はホッとしたような表情をして優しげな目で私を見た。

世の中には私よりもずっときれいで賢くて女らしくて可愛い女が

あふれるほど歩いていることを私は彼に教えてあげたかった。

彼にとって私はただ珍しいタイプでしかない。

単なる気晴らしかつまみ食い程度の女なのだから。

そのことは私が一番よくわかっていた。

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