それでも僕は君を離さない
「今日はランチに行けるだろ?」

「あまり食べられないです。」私は正直に言った。

「いいよ。気にしないで。僕は君と共有できる時間があればいいんだ。」

「そうですか。」

私たちは横浜へ移動した。

ベイエリアへ向かった。

日曜日はかなりの人出だ。

歩道は広かったけれど

家族連れやカップルで埋め尽くされていた。

彼は前ぶれもなく私の手を取った。

軽く握って私のすぐそばを歩いた。

「はぐれそうだから、いい?」

私は少しうなづいて声なく返事をした。

なぜかと言うと

彼のあのものすごくきれいな手の中に

自分の手が収まっていると思うと狂いそうで

心臓のドキドキ音を聞かれそうで

喉がカラカラだからだ。

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