それでも僕は君を離さない
「この前言っていたことを覚えていますか?」

「うん。」彼は食べながら私を見た。

「もし私の全てを得られたら、その後はどうするのですか?」

「決まってるよ。そのままずっと一緒にいる。」

私は頭をフル回転させなくてはならなかった。

しかもここはレストランだ。

ランチの途中でこんな重みのある言葉を平然と言う彼を

私は凝視した。

「奈々、そのことはまたあとで話すから、今は食べて。デザートはアイスがあるよ。」

「はい。」

「フルーツも何かあったよ。」

「そうですか。」

「お腹がいっぱいで歩けなくなりそうだな。」

「はい。」彼の笑顔に私も少し笑顔で返事した。

「歩けないでなく、動けないかも。」

私たちはまた声なく笑い合った。

「食べ過ぎた。」

彼は空になったお皿を見ながら言った。

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