それでも僕は君を離さない
レストランを出て外の空気を吸った。

4月とはいえ風はまだ冷たく

食後の私にはそれが気持ち良く感じられた。

「風がちょうどいい。食べて熱くなったし。」

彼のひと言ひと言が私には自分の思いと同じすぎて

フィーリングが重なり合っているような不思議な気分でいられた。

「混んでるな。行こう。」

「はい。」

彼にまた手を取られて歩き出した。

「あれに乗って移動しよう。」

私は海上を走る平らな形の船を見た。

近くの埠頭から埠頭へいくつかのルートがあるらしかった。

「シーバスだよ。並ぶかも。」

「はい。」

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