それでも僕は君を離さない
私は大学4年の時に先輩と付き合っていた。

私たちはどこかへデートに行くことはなかった。

いつも研究室で会い

学食で食べ

図書館でレポートをまとめ

時々先輩の部屋で夜を明かして

翌日また研究室へこもる

といった過ごし方だった。

私は卒業し

先輩は引き続き大学院に席を置いて

お互いに会う機会がなくなった。

優秀な先輩のことだから

大手の薬品か化粧品かバイオ系のメーカーへ進むのが

当然だと私は思っていた。

まさか同じ会社に就職してくるとは思わなかったし

先輩のことは忘れかけていた。

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