それでも僕は君を離さない
「どうしてそんなことを言うんですか?」

「君の反応が微弱だからだよ。」

「微弱?」

「第一に、君はベッドで冷静すぎる。第二に、キスしても声がない。第三に、会話に甘さがない。第四に、僕を求めない。第五に、そんな君を丸ごと欲しいと思う自分が何もしてあげられていないことに腹が立つ。」

彼はそう言って私の髪に顔をうずめた。

「奈々、頼む、僕を見てほしい。」

彼は全てに正直だった。

私も彼に対して正直でいたいと思った。

「透吾さん。」

「うん。」

「私もちゃんと言います。」

「うん。」

「私は透吾さんの笑顔が素敵すぎていつもドキドキしてました。えくぼが魅力的でクラクラしてました。そして私には勿体ないと思っていました。それに透吾さんの手がきれいすぎて見とれていました。それから透吾さんのひと言ひと言に私はいつも気持ちが安らぎます。透吾さんは私にたくさんのことをしてくれています。何もしてないって言わないでください。」

「ありがとう。飾らずに言ってくれて嬉しい。僕だけが君に熱くなっているような感じがして決まり悪かった。」

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