それでも僕は君を離さない
「ごめん。呼び出して。何か飲もう。」

私は彼の斜め後ろを歩いた。

駅近くのカフェに入った。

私たちは奥の席に落ち着いた。

「お疲れ。」

彼はそう言ってコーヒーカップを持ち上げてひと口飲んだ。

私は貴重な休日を返してほしいと思いながらコーヒーを飲んだ。

「初めに謝る。個人情報を見たこと。でも後悔はしてない。こうして君に会えたから。」

「用は何ですか?どうして私なの?」

私は冷静に質問した。

「僕と付き合ってもらえないか?返事は考えてからでいいよ。」

彼は決してふざけている様子はなく至って真剣に見えた。

「どうかな?」

「付き合うって急に言われても、私はあなたのことは何も知らないし。」

「それならこれから知っていけばいいよ。」

彼の両頬に深いえくぼが浮かんだ。

なんて素敵な笑顔なのかしら。

しかもカップを持つ彼の手はものすごくきれいだった。

私は一瞬で彼の手に目が釘付けになった。

そして急に胸の辺りが熱くなってきた。

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