そっと優しく  抱きしめて
「野瀬さんは彼のタイムカプセルもそういう商品だと思うのですか?」

「たぶんね。彼には悪いが、もっと存続性のある商品でなければこの業界では生き残れないよ。例え来月彼のフューチャー・ボーイのアクセス数がトップになったとしても、その次の月はどうだかわからない。」

私は帰宅してからも彼のシビアな言葉を思い出していた。

存続性のある商品って何かしら?

私のペーパー・ラボはどうかしら?

私は今までネットに載せた商品リストを目で追って考えた。

もっと私なりの、他の誰にもできないような、私独自の商品で、皆に必要とされるものがいいわ。

そしていくつか考えた。

デッサンを仕上げ、コンセプトとキャッチフレーズ、商品レポートを書き上げた。

野瀬さんに相談したい旨を伝え、アポを取った。

翌日、社へ向かった。

彼の期待に応えたかった。

彼はいつも私の支えになり、応援してくれていた。

何よりも私のペーパー・ラボを一番に理解してくれていた。

その彼にもっと貢献したかった。

彼の会社のために少しでも役に立ちたかった。

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