そっと優しく 抱きしめて

「君はそこまで自分を悲観する必要はないよ。今までの業績は誰もが真似できない素晴らしいものじゃないか。僕の社に確実に貢献してくれているし、何よりも君のペーパー・ラボはもうすでにネット社会に定着しつつある。固定客も飲食店だけでなく一般の家庭にまで広がっている。君はそれらを全て見捨てるつもりなのか？少し頭を冷やして考えた方がいい。この新商品リストはしばらく僕に預からせてもらうよ。」

私は彼の対応に驚いてしまった。

「では、私はどうしたらいいんですか？」

「今までと同様に、僕は君を後ろで支えるまでだ。社としてはペーパー・ラボを潰したくない。閉店は有り得ないとまで言っておこう。君は休暇を取った方がいいな。」

「休暇ですか？」私は唖然とした。

「そうだよ。誰もが休み無く働くなんて、どこの世界にそんなことがあるんだい？つまり有給休暇だ。ネットショップのオーナーは社員を兼用している特殊なビジネスだ。君にも息抜きは必要だろ？オーナーとして社員に休みを許可するんだ。僕が言えるのはここまでだ。君のために僕が言えることはこれくらいしかないよ。」

「でも休むなんて、私は休んだことがないし、休んでいる間のネットショップが気になって仕方がないです。」