そっと優しく  抱きしめて
「ダメだよ。それで追い詰められたオーナーがたくさんいた。休むことが怖いと彼らは口々に言っていた。君も怖いと思うから休めないんだろう?ネットは24時間眠らない世界だ。人間は違うだろ?寝ないでコンピューターを相手にしたいのか?そんなことはバカげているし、第一ナンセンスだ。僕たち人間がネットを動かしているんだ。君がネットに左右されることはない。わかってもらえるかな?僕が言いたいこと。」

「はい、休暇を取ります。」私は彼の言う通りだと思った。

「よろしい。それから、何かあったら遠慮なく僕に言ってもらいたい。どんなに小さなことでもいいんだ。約束だよ?」

「はい、ありがとうございます。」

私は野瀬さんが好きだった。

彼は心から私を理解してくれていた。

彼になら何でも相談できた。

でもいくら何でも私の恋する想いだけは話せないわ。

私の一方的な気持ちはこのまま静かに漂わせていたい。

休暇中のオーダーは翌週の受注に全て回す手配の旨を流した。

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