そっと優しく  抱きしめて
ε.静かな急展開
私の想いは全て野瀬さんのものだった。

メール着信『華井さん、今夜食事に誘いたい。都合が悪かったら連絡ください。野瀬』

何かしら?

ペーパー・ラボは問題ないし、アクセス数の集計は先週だったし、一体何?

嬉しいし、会いたい想いに変わりはないし、素直に喜びたいけれど。

たぶん野瀬さんの用件は仕事のことだと思った。

新商品リストも預けたままだった。

ピンポン、とチャイムが鳴った。

「はい。」

「野瀬です。」

「野瀬さん、お待ちください。」私は玄関のドアを開けた。

「少し早かったかな?支度するまで待つよ。」

「どうぞ、お上がりください。」

「ここが仕事場だね?」

「はい。」私は彼にお茶をお出しして、奥へ行った。

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