そっと優しく  抱きしめて
ζ.キスで再確認
俺は野瀬貴弘。

漫画家だ。

これでも売れてんだぞ。

少年マンガを描いている。

TVアニメも映画も完璧にこなしてるぜ。

締め切りもパーフェクトだ。

ピンポーン、チャイムが鳴った。

「宅配?俺、頼んでねぇが?」

ラベルもろくに見ず、箱を開けた。

「ファンからのプレゼントは出版社に届くはずだが。」

ガサガサとブルーの紙をめくった。

「何だ?」サラサラとした布地に馴染みがなかった。

「うっ!何だよ、これ?こんなに透けてる!」

カードを読んだ。

「透け透け拷問ナイトに貴女もエキサイト!ドレス・ドゥ・シースルー?何かの間違いじゃねぇの?」

俺は箱のラベルを見た。

607号室華井莉花と記してあった。

「隣りじゃねぇか、莉花!あいつ、これ着て兄貴を悩殺してんのかよっ!」

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