そっと優しく  抱きしめて
「莉花、いつまでそんな格好でいるんだ。俺を誘うなよ。兄貴に半殺しにされちまう。」

「貴弘さん、私、これ似合う?色っぽく見える?」

彼女はそっと俺に擦り寄ってきた。

小柄な彼女は俺の胸の位置で顔を上げた。

「やめろよ。俺に触るな。」

「だって、思い出しちゃう。あの時のキス。もう一度だけ欲しがっちゃダメ?」

シャンプーの香りがした。

「俺はしらねぇぞ。おまえが誘ったんだからな。」

たっぷりキスしちっまった。

バレたら超ヤバいぜ。

莉花の唇が真っ赤になった。

二度あることは三度あるって言うんだ。

絶対マズい。

隠し通せるわけない。

俺は兄貴にバレるのは時間の問題だと、どこかで覚悟をしていた。

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