そっと優しく  抱きしめて
「そうだよ。もっと外へ出ていろいろなものを目で見るんだ。例えばスパへ行くとラウンジには必ずやしの木があってカモメが飛んでいるし、図書館のキッズコーナーには必ず蝶やロケットが天井を飛んでいるよ。君は外の世界を観察しないで頭で考えるだけだ。アイデアは変な所に転がっているものだよ。」

「そうですね、そうですよね。野瀬さんのおっしゃる通りだわ。」

「週に何度かは必ず外出した方がいい。きっと君のアイデアに磨きがかかること間違いなしだ。」

「はい。」

「君の創作力は永遠だな?羨ましい。僕などただのサラリーマンだもんな、あっはっは。」

私はそんなことは無いと断言できた。

野瀬さんはXX大学の大学院出でアメリカの有名なIT系の会社を渡り歩いたと聞いたことがあった。

帰国してからは今の会社を仲間と立ち上げたという立派な人なのだ。

しかも年商XX億の会社だ。

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