りんごの知らせ
(料理クラブ? それとも、演劇部で白雪姫をやる、とか……?)

不思議なこともあるものだと考えながら学校を出ようとすると。

一人の先生と、すれちがった。

(りんご……!)

そう。その先生の手にも、りんごがあった。


〝これで、ふたつめ〟


「ひっ」


〝みっつめのりんごを手にした者が

 お前に何かを知らせるだろう〟


ぞっとするような声だった。あたりを見回しても、もう何も怒らない。

不思議さは、不気味さになった。

ちょうど、あの目覚まし時計と同じように。

(あ、あの時計って、りんごじゃない!)

Aさんは一目散に走った。家が見え、家に入り、自分の部屋へ飛びこんだ。
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