Secret Rose
カウンターで 裕吾はコーヒー、私はミルクティーを飲みながら、マスターも交えて話をする。それがいつものパターン。

マスターと裕吾が煙草の話をしているのが聞こえる。3人で話しているはずなのに、私は、裕吾の煙草の煙が ライトの下で黄色く揺らめいていているのをボーっと眺めていた。

「裕吾も今のうちに煙草辞めときや、病気になってからでは遅いねんで。」

「マスターかて吸うてますやん。」

そういいながら祐吾は笑っている。

「俺はもう辞めんねん!この一箱終わったら禁煙や!」

マスターも煙草に火をつけた。

「マスターいつから煙草吸い始めたんですか?」

「ハタチからに決まっとるやろ!」

マスターは眉間にシワを寄せて祐吾を睨む。

「まさかー。この前奥さんが『あの人は昔っから吸うてるみたいやから、辞めようにも辞められへんのや思う』てゆーてましたよー。」

今度は祐吾が目を細め、マスターを眺めた。

「でも、昔からのツレが肺ガンなってもーてな、俺も他人事ちゃうな、思てな」

「マスターは肺ガンより、メタボの心配・・・」

「黙れ!」

マスターは“メタボ”というワードが出ると、相手に最後まで喋らせない。

「で、その人大丈夫なんですか?」

「んー、まぁ 良くもなく、悪くもなくって感じでな、もう歳やから進行も遅かったみたいやし 手術とか、治療すればどうにかなるみたいやけど。」

「へー。ガンって怖いですねぇ。」
< 12 / 65 >

この作品をシェア

pagetop