Secret Rose
「それでって、一応そういうことは親に言うもんやん。」

普段から母は、あまり私に干渉しない。
自分も干渉されるのが嫌い、という理由からだという。

「絵里奈ちゃんなら全然かまんよ。」

「うん、ほな切るで?」

「戸締りと水やり忘れたらあかんで!」

「わかってるって、お土産買ってきてやー。」

「はいはーい、またね。あ、さっき、お師匠さんに電話したら、息子さんが家まで展覧会の冊子持って行ってくれるいうてたけど来た?」

「え?誰も来てへんで。」

「たぶんそのうち来るから、愛想よくしといてね。」

「わかった。じゃあ、気をつけて帰ってきてな。」

そう言って電話を切った。


帰ってから水やりしようと思っていたのを、すっかり忘れていた。

「あ、水やりせな。」

「茜んちの庭広いよなー、うらやましいわ。」

私が庭に出ると絵里奈も一緒について来て、テラスの椅子に座っている。
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