Secret Rose
「お袋も他所(よそ)で男作っててん」

「まじで?!」

「俺見てん。梅雨の時期で、雨降ってて『うっとーしいなー』って思ってた日にな、そういえばアジサイも咲いてたかな・・・。車からお袋と知らん男が降りてきてんやん。で、そのまま知らん家に入っていってん。その日以来お袋は見てない。親父は今もそのこと知らんみたいやけど」

「うそぉ・・・」

茜は気の毒そうな顔をした。

「親父はお袋に浮気したこと話たけど、お袋は黙って出て行ってん」

「・・・」

「何か変な話してもーたな(笑)」

「せんせ・・・ごめん・・・」

「何で謝んねん!俺が親の離婚で傷ついてる風に見えるか?」

「見えへんなぁ」

「なんやねん(笑)」

「自分で聞いてんやん(笑)あ・・・」

時計の針は8時5分前を指していた。

「あ、もうこんな時間か、ほな帰るわな」

「うん、来てくれてありがとう、楽しかったわ」

「はよ治せよ」

「うん」

「おやすみ」

「おやすみなさい(笑)」
< 46 / 65 >

この作品をシェア

pagetop