Secret Rose
「あ、父さん・・・」

「大丈夫か?何か食べたいものあったら買ってくるで」

「あ、うん・・・プリンか・・・ゼリー的なもの食べたいかも」

「売店行ってくるな。他には?」

「水がお茶。喉渇いた」

「ほな行ってくるな」

父と入れ違いに祐吾がお見舞いに来た。
お見舞いと言っても、祐吾もまだ入院中で、茜よりも骨折がひどく、まだ車椅子なしには動けない。

「よ!」

「どしたん?」

「元気か?」

「ぼちぼち(笑)あたし、虫垂炎かもって言われた」

「盲腸?大丈夫なん?」

「わからん。朝むっちゃお腹いたかってんけど、今は薬飲んだから平気」

「大変やな。盲腸って取らなあかんのちゃうん?」

「たぶん。まだ検査の結果出てないから、どうかわからんけど」

祐吾が心配そうな顔をした。

「別に心配せんでいいよ。もし盲腸でも取れば治るって言うてはったし」

「そうか。・・・茜、学校は大丈夫なん?」

「んー、先生は大丈夫って言うてたけど・・・もし手術ってなったら退院出来んひんしな・・・も一回1年生かな(笑)」

「笑い事ちゃうで」

真剣な面持ちで祐吾が言った。
普段はヘラヘラしているから、余計に事の重大さを感じた。
今までにないような緊張を感じた。
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