Secret Rose
「買ってきたでー」

父が帰ってきて、緊張感が和らいだ。

「あ、こんにちわ」

「おー!うちの娘をたぶらかしてる祐吾!久しぶりやな、元気か?」

「たぶらかしてませんよ!」

「けが人つかまえて“元気か?”はないよな」

茜が誰に言うわけでもなく、呆れ顔でそういった。

「祐吾の方が茜よりケガ酷かってんて?」

「でも来週にはギプス取れるらしいんで、心配しなくていいですよ」

「別に心配なんかしてへんよ。なー、茜!」

「ちょ・・・っ、父さん!」

「あ、パパ土曜日には東京帰らなあかんから、またしばらく会われへんねん」

父が眉をハの字にしていった。

「そうなん?次いつ会えるかわからへんの?」

「せやな・・・。せやから、祐吾!察しろ!」

「はいはい、僕は戻ります。じゃ、おじさんもお元気で」

「おじさんちゃうでー、祐吾もはよ治せよ」

「はーい(笑)」

「ちょ、祐吾ー、そういえば話あるっていうてへんかった?」

茜が祐吾を引きとめようとしたが祐吾は

「あ?忘れた。また思い出したら言うわ」

といって、病室を出て行った。

祐吾と入れ違いに、母と外科の先生が検査結果を持ってに入って来た。
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