Secret Rose
また気づいたら眠ってしまっていた。
目が覚めたらもう外は明るく、回診で病室が騒がしかった。

茜が盲腸になろうが、留年しようが、無情にも陽は昇り 朝はやってきて1日が始まってしまう。
いっそのこと、地球の遠心力で宇宙に飛んでいってしまいたいくらい、茜の寝起きは最悪だった。

「茜ちゃーん、包帯取替えよか」

今日は、あの貫禄のあるベテラン風看護士さん。
明るすぎて、今の茜には眩しい。

「どしたん、茜ちゃん、目腫れてんで?まだお腹痛む?」

「ううん、お腹はもう大丈夫」

「どしたん?恋わずらいか?(笑)」

「そんなん違うぃます・・・」

ノリが担任にそっくりなので、ついキツめに言いそうになってしまった。

看護士さんは、お腹を消毒して包帯を取替え、足に取り掛かっていた。
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