Secret Rose
その晩、父は東京に戻ってしまった。
しばらくまた、母と2人の生活になってしまう。
寂しい気もするが、東京なんかすぐそこだ。
それに、またすぐ仕事でこっちにも来るらしいから、きっとすぐ会える。

ポッカリと心に穴が開いたよう・・・とまではいかないが、気が抜けてしまったようだ。
なかなか寝付けなくて、ベッドの中でモゾモゾしていた。

カサッ

何かが手に当たった。

「ん?」

枕の下からメモ用紙が一枚出てきた。



『茜、いろんなことが一度に起きて大変やったな。でも、もう少しだけ一緒に頑張ろう!辛くなったら休憩して、元気になったらまた始めればええねん。俺も頑張るから、茜も頑張んねんで!
p.s.お前の泣き顔はブサイクや、他のヤツには見せへん方がいいで(笑)中村』


また目からアレが湧いてくる。
でも昨日とは違う。昨日のが水なら、今日のはお湯だ。
きっと、顔も心も湯気が立つほど熱くなっていたと思う。

その手紙を綺麗に折りたたんで、財布の“大切なモノコーナー”に加えた。
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