歪んだ愛しさ故に
「あー飲んだぁ!」
「飲みましたねぇ」
「あたしと同等に飲む女の子なんて初めてよ」
「それは嬉しいです」
そろそろ終電が近くなって、ようやくお店を出たあたしたち。
今日はいったい何杯飲んだのかなんて覚えてない。
そもそも、外でお酒を飲むのなんて学生の時以来。
「琴音は電車?」
「はい。玲子さんは違うんですか?」
「あ、ちょっとね。
迎えに来てくれるみたいで」
「もしかしなくても、…彼氏さん?」
「まあね」
飲みながらも、軽く玲子さんの彼氏さんの話にはなった。
意外にも、玲子さんの彼は年下で、あたしとタメらしい。
大人の人が好きそうなイメージがあったので、相手が年下だと聞いて驚いた。
「どうせなら、一緒に送ってってもらおうか」
「え、さすがにそれは悪いですよ!」
「いいっていいって。どうせ方面は一緒なんだし」
「でも……」
「あ、来た来た」
善意を受けることに慣れてないあたしは、玲子さんの提案に戸惑いを感じていた。
だけどその間に、玲子さんの彼が乗っている車らしきものが、目の前のロータリーに停まった。