歪んだ愛しさ故に
 
玲子さんは、一人車が停まっているところまで行くと、窓を開けた中の彼に話しかけている。

多分、あたしも一緒に送って行けるか話しているんだと思う。

承諾したのか、運転席のドアが開いた。
そこから出てくる彼。


暗がりで、すぐにはその顔はハッキリと映し出されなくて
挨拶をしようとあたしも近寄る。


ちょうど通りがかった車のライトが、彼を照らした。




「――っ!!」




はっきりと見えたその顔に
近寄ろうとした足が思わず止まる。


向こうも一瞬だけ驚いた顔を示す。

だけどすぐにその顔を緩めると、




「こんばんは。
 どうぞ、よかったら乗っていってください」



と、薄気味悪いほどの笑顔で答えた。




彼は……

あたしの人生を変えた……



悪魔の男だった。
 

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