歪んだ愛しさ故に
あたしの心だけは、嵐のように吹き荒れて
ドクドクと尋常じゃない速さで心臓が暴れてる。
「彼女、豊田琴音ちゃんって言ってね。
あたしの会社の後輩なの」
「へー。綺麗な子だね」
「でしょ?つい最近まで、この姿隠してたんだけどさ。
今のほうが絶対にいいよね」
「昔を知らないけど、いいんじゃない?可愛いと思う」
「……」
目の前では、人の話で盛り上がっている二人がいて、
背もたれから覗かせる後頭部を、あたしはただじっと見つめていた。