歪んだ愛しさ故に
 
「よし、次行こー!」


ようやく2時間制の飲み会が終わり、お店の前で騒ぎ立てる社員たち。
今日は金曜日と言うこともあり、みんなとことん飲むつもりのようだ。

だけど当然、あたしが二次会的なものに参加することはない。


「すみません。
 私は帰りますね」

「あ、そう?じゃあ、お疲れー」


一言声をかけて帰ることを知らせて、そそくさとみんなの前から姿を消す。

お酒も飲まない。
ノリもよくない。

こんなあたしが、もちろん誰かに引き留められることはない。



そしてそのまま家へと帰った。




「はあ……」


誰もいない部屋へと帰り、さっさとエアコンを入れてソファーに腰掛けた。


今日も疲れた……

上着を脱ぎ捨て、縛っていた髪をほどき、
度の入っていない眼鏡をテーブルの上に置いた。



途端に楽になる自分の体。



やっぱ素が一番楽だ。
 
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