歪んだ愛しさ故に
 
(信じてたのにっ……)


すぐに気づいた茜。
あたしの親友。


(琴音が誘ったんだよ!)


簡単に嘘をつく男。


ずっと築いてきた友情なんて
色恋が絡めば簡単に崩れた。


(琴音って、すぐ人の彼氏とるよね)
(色目つかって最低)
(琴音と一緒にいるの嫌だ)


噂は大きくなっていくもので
あたしと友達になったら、彼氏をとられると言われるようになった。


あたしも悪い。
彼氏という本命をつくってこなかったから。

だけど友達は大事だった。
男にいい加減だったかもしれないけど、彼女もちの人に手を出したことはなかった。


それをこの男が壊した。


だから……



その日から
あたしは目立つことのないよう、地味な女を演じた。
 

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