歪んだ愛しさ故に
 
「もー!いい加減なこと言うのやめてよー」


前の席からは、楽しそうに話している玲子さんと健太。


あれからもう4年。
あたしにとって、忘れられないほど憎い相手だけど
相手にとっては、あたしはもうどうでもいい存在なのかも……。


あたしはあたしで
地味女を演じていた自分を捨て
今こうやって、素の自分で生活し始めている。


だからもう……
あたしも捉われるのはやめよう。




「……あのマンションです」

「了解」


車で30分ほど走って
マンションの前に着いた。


促された通り、車はマンションの前に停まった。
 
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