歪んだ愛しさ故に
 
「んっ……っ…」


部屋に入るなり、
襲ってきたのはキスの嵐。


荒々しく口づけられながら、
羽織っていたコートは脱がされ、厚手のニットも器用に剥がされていく。


ボスッと音を立ててベッドに押し倒された時には
キャミソールとスカートだけしか身に着けていない状態になっていて
それでも上沢さんのキスは止まらなかった。


「かみ…ざわさっ……」

「拓」

「た、くっ……」


慣れない下の名前は、滅多に呼ばない。

いつもの名字で呼んでしまったら、訂正された。


名前を呼ばれたことに納得して
再びその唇は重ねられる。

離されたと思ったら、なぞるように舌先で唇をなめとられ
吸われるように噛みつかれる。


何度も……

何度も……


いい加減、唇が腫れ上がってしまいそうだ。
 
< 156 / 287 >

この作品をシェア

pagetop